この度、塩野香料が所蔵する歴史的資料が「太平洋戦争中に日本でポリスチレンを工業化していたことを示す資料」として、公益社団法人日本化学学会主催「第15回化学遺産」に認定されました。

これは太平洋戦争下の日本でレーダー開発に不可欠な高周波絶縁素材としてのポリスチレンが輸入困難になる中、日本政府・軍が共に民間企業の工業化を支援。塩野香料もその一社として工業化の鍵となるスチレンモノマー製造技術を独自に開発し、1943~44年に相次いで月産1~数トンの生産を開始した史実を証明する資料です。

1945年の空襲による被災で各社資料が消失する中、幸い塩野香料では当時の軍需省からの「発注工場指定書」を始め「生産報告」など製造に関わる各種書類が保存されており、今回の受賞につながりました

受賞後の塩野秀作会長と日本化学会・菅裕明会長
(日本大学理工学部 船橋キャンパスにて)

軍需省から受け取ったスチロールの発注指定工場の指定書。軍需大臣・東条英機の名前が見える

 

※日本化学会は、化学と科学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用促進を目的として、化学遺産委員会(委員長・宮村一夫、東京理科大名誉教授)を設置し、活動を行っています。化学遺産認定はこの活動のひとつで、歴史資料の中でも特に貴重なものを認定することによって、文化遺産、産業遺産として次世代にお伝えするとともに、化学に関する学術と技術の向上。化学工業の発展に資することを目的としております。

 

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