サクラの花の香気成分を分析報告

2016/10/29
フレグランス
タイトル サクラの花の香気成分
学会発表 第60回 香料・テルペンおよび精油科学に関する討論会
内容 サクラの花は近代で著名な‘ソメイヨシノ’の鑑賞よりさらに以前から、人々の生活と歴史に関わってきました。‘ソメイヨシノ’は花の香りがほとんどない部に属しますが、サクラの中でも特徴のある花の香りをもつ系統や栽培種は知られています。(独)森林総合研究所多摩森森林科学園を中心に他の施設にもご協力を頂き、‘オオシマザクラ’や‘駿河台匂い’などの合計10系統種のサクラの花の香気分析を実施し、各特徴成分を把握しました。 やわらかなグリーン香のオオシマザクラの系統はlinaloolと2-phenylethylalcoholを軸にし、アニス調の甘さのあるanisaldehydeが加わると‘上匂’の香り傾向に、一方、ハネー感の強い‘駿河台匂い’は、linaloolがなく、phenylacetaldehydeや2-phenylethylalcoholなどが主でありました。またlinaloolの光学異性体構成比は、オレンジと同じS-体が主で、キンモクセイやジャスミンと異なり、柔らかなグリーン香の要因であると考えます。サクラの開花季節には、このような品種系統のサクラの花の香りも、楽しめることと思います。
Title Volatile components from the flowers of Cherry cultivars
Gist Volatile concentrates from flowers of 11 cherry individuals were collected with dynamic headspace sampling and solvent extracting methods. And their volatile components analyses were performed by GC/MS. These cherry cultivars were categorized into three groups, linalool-major, phenylethyl alcohol-major and others, based on the results. Coumarin was detected at quite low concentrations from concentrates of five cultivars. In the chiral analyses of linalool, the only 3S-type peak was detected in the extracts of Ohshima cherry and ‘Affinis’.