社員紹介 基盤技術研究所
研究開発 主任
S.H. 2016年入社

主な仕事 Work Style

エキスの新製品開発

エキス製品の新製品開発全般を担当しています。塩野香料のエキスは、香料分野で培ってきた抽出技術を活かし、農産物からおいしさや香りを引き出した食品素材です。素材の選定や抽出方法を検討しながら、お客様からの依頼による開発と、ニーズを想定した自主開発の両方に取り組んでいます。原料の産地や加工方法などの情報を整理し、おいしさ・価格・訴求点・安定供給のバランスを考慮しながら、最適な製品設計を行っています。

調合用素材の開発

主に柑橘類向けの素材を担当しています。柑橘類の香料は飲料分野で多く使用されますが、その香りは果皮に含まれる精油由来の成分が中心です。そのため、水を主体とする飲料で使いやすくする工夫が重要です。蒸留や抽出といった技術を活用しながら、フレーバーリストのニーズに応える素材の開発に取り組んでいます。

エキス用加工素材の開発

エキスの抽出原料となる農産物の一次加工品の開発も担当しています。市販の加工品では、塩野香料が目指す品質に達しない場合があります。そのため、加工前の原料探索や一次加工工程の検討にも取り組んでいます。原料供給元となる農家や海外サプライヤー、加工を担う協力企業と意見交換を行いながら、社内外と連携し、原料段階からより高品質な製品開発を進めています。

一日の仕事の流れ Day

07:30 – 08:30 一日の段取り確認
※時差出勤で1時間早めの始業開始時間を取らせて頂いています。
朝一はメールやセールスフォースで業務状況を確認し、その日のタスクを整理します。試作品開発に必要な事務作業も含め、デスクワークと実験の予定を立てます。必要に応じて文献や特許の調査も行います。
08:30 – 11:00 試作品の検討と評価
複数の試作品を作成し、官能で比較評価を行います。必要に応じて処方配合を検討し、処理工程中や完成後の性状、経時的な安定性も考慮しながら検証を進めます。
11:00 – 12:00 サンプル提案に向けた準備
お客様へのサンプル提案に向け、社内手続きの準備を進めます。農産物や農産加工品を原料として用いるため、農薬情報や規格書をチェックし、食品としての安全性を確認します。そのうえで、原料登録や処方・製法登録などのデスクワークを進めます。
12:00 – 12:40 昼休憩
昼食は工場内の食堂でとっています。あたたかい食事は午後からの活力につながります。休憩時間はしっかり休息を取り、午後の業務に備えます。
12:40 – 13:30 評価共有と開発方針の確認
担当営業やエヴァリュエーターと試作品評価を共有し、香味の方向性やコスト面、分析内容を踏まえて開発方針のすり合わせを行います。
13:30 – 16:00 コスト試算と試作品の再検討
評価結果をもとに、香味発現やコストが要件に合うよう処方や製法を見直します。
品質とコストのバランスを考慮しながら製品設計を進めます。

キャリアパス Career

学生時代
工学部の化学系学科を専攻し、半導体用の光硬化性樹脂の研究をしていました。地域の化学系企業との共同研究にも携わり、企業担当者との進捗報告や樹脂素材の評価、特許出願も経験しました。これらの経験から、化学を生かしたものづくりに携わりたいという思いが強まりました。一方で、当時は食品業界に進むとは想像していませんでした。
入社1年目~2年目
旧フレーバー開発部門で、GC分析や簡単な調合、柑橘精油のエッセンス化、エキス調製の補助に取り組み、香料・エキス基礎知識を習得しました。また、市販品や原料の香気分析で香りの構成を学び、天然素材と合成素材の違いや、素材や加工方法の違いによる香味発現の違いについて理解を深めました。
入社3年目~5年目
上司の方針のもと、数か月間にわたり製造現場での研修を行いました。ラボスケールでは見えない、研究と実製造のスケールギャップを実感し、自社設備や機器への理解も深まりました。この経験は、その後の新規開発や社内素材のコストダウン検討において、実現性や効率性を意識した製品設計に活かされています。
現在
組織改編によりエキス関連業務の比重が高まり、エキス開発全般を任されるようになりました。サンプル提出に加え、エキスに関する勉強会の実施や営業同行でのプレゼンテーションなど、お客様と直接関わる機会も増えました。現在は最終商品のコンセプトを踏まえたエキス設計や新たな製法の開発に取り組むとともに、これまでのエキス技術を発展させた新たな方向性として、「第二世代のエキス」の開発を進めています。

未来への挑戦 Challenge

今、挑戦していること

コンセプトを中心としたエキスの横展開を検討してきましたが、改めて品質に立ち戻り、より高品質なエキスの開発に取り組んでいます。上司や先輩方が築いてきた既存のエキス製品と向き合い、その品質を超えることに挑戦しています。エキスは香料と比べ、構成要素が少なく、原料の品質や加工方法の影響を大きく受けます。そのため、現在は抽出原料の選定や加工方法など上流工程から見直し、抽出方法にも工夫を加えながら、既存製品を上回るエキスの開発に挑戦しています。

この先、挑戦したいこと

エキスの検討を進める中で、その可能性とともに、対応できる範囲の限界も感じています。飲料以外の用途も検討していますが、例えば調味料のように、味や香りの主張が強い分野では、エキスの効果を発揮しにくいことが明らかになってきました。一方で、エキスの品質向上に取り組む中で、抽出元となる原料や加工方法の選択肢は広がってきています。こうした経験から、エキスという形態にこだわらず、より適した形で価値を提供する視点も重要だと考えています。農産物の一次加工分野は競合も多い領域ですが、これまで培ってきた香料メーカーとしての知見を生かし、独自性のある農産物加工素材の開発にも挑戦していきたいと考えています。